「荒地」と「列島」の詩人のグループを戦後第一世代と呼ぶとすると、この「櫂」は戦後第二世代と呼ぶことができるだろう。このグループの特色はやや年長でリーダー各の茨木のり子を別格とすると、ほとんどが昭和一桁生まれであり、中学・高校時代に敗戦を迎え、戦後の民主主義社会において青年期を過ごした詩人たちである。
 戦争に接触した時期が少なかったせいか、「櫂」グループの特色は反戦的な政治的イデオロギーの要素よりも、明るく素直な抒情性にある。
 主要メンバーである茨木のり子、川崎洋、谷川俊太郎らは戦前の「四季」の抒情詩とは異なる新しい戦後の抒情詩を作り上げることに成功したと言えるだろう。 

 

  

◆櫂同人関連詩書図録◆

 

NEW対話 茨木のり子
NEWはくちょう 川崎洋
NEW二十億光年の孤独 谷川俊太郎
記憶と現在 大岡信
魚のなかの時間 中江俊夫
汎神論 水尾比呂志

 

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)