『沙漠の木(砂漠の木)』
第一詩集。世紀群叢書発行。奥付は最初から無し。外装無し完本。表紙絵=桂川寛。扉絵=安部公房。挿絵=勅使河原宏他。全33P
関根弘は1920年東京生。戦前はメリヤス工場での労働生活を経てから新聞記者となる。戦後、長谷川龍生らと詩誌『列島』創刊。「列島」のリーダー的詩人となる。歯切れの良いリズムで鋭く現実の不条理を切ることを得意とする。
さてこの関根弘の第一詩集『沙漠の木』は「世紀群叢書」の一冊。「世紀群叢書」は安部公房や花田清輝のものなど合計7冊確認されている。
さて本書において関根弘はその独自の作風を確立し、また詩誌「列島」の方向性を決定したと言って良いであろう。そういう意味で戦後詩史において極めて重要な一冊と言える。
また本書にとって重要なことは詩の内容とさることながら、その挿絵である。ほぼ全ページに渡って安部公房や勅使河原宏の挿絵が詩を彩る。まさに「読む詩集」&「観る絵本」の双方の面白さがある詩集である。
さて本書の入手難易度は中程度。それほど苦労しなくても入手できる。しかし非常にヤワな装釘なので状態の良い本は少ない。古書価は30000〜50000円と幅がある。
『絵の宿題』
第二詩集。建民社発行。カバー完本。初版1953年7月10日。
この本が第一詩集と思っている人もいるようだが実は第二詩集。第一詩集は『沙漠の木』。第一詩集はめったに出ないし、古書価も高いので、関根弘にさほど興味のない人はこの第二詩集で十分である。この『絵の宿題』は比較的出やすいし古書価も安い。3000円前後から買える。しかし状態のよい本は少ない。
注意!本書には復刻版が存在します!
(黒猫館&黒猫館館長)