終劇

すべての物語は此処に終わり、すべての物語は此処に始まる。

序詞
＜悲しめる友よ＞

そんなにもあなたは背中を丸めて通り過ぎてゆく
顔をしかめ　ため息をつきながら人生を通り過ぎてゆこうとする

あなたは死の暗黒に安らぎを求めている
黒い死の天使があなたを連れに来るのを一日も早くと待っている

しかし　神などいないのだ
無論　天使も悪魔もいない
天国も地獄も存在しない

死の暗黒のなかに救済の光明を見出そうとするな
そこは何も無い荒野だ

だから　友よ

あなたは現実の生をまったきものとして生きなければならない
人生をなにもせず通り過ぎて行こうとしてはならない
自分の力でこの世界に自分の居場所を造らなくてはならない

そのために友よ

あなたをこの世界から追いやろうとする
すべての暴虐と不条理に「否」と言おうではないか
そう言えるだけの自分になれるために「否」と言おうではないか
今日は無理でも明日からは「否」と言おうではないか

すべてはそこから
すべてはそこから始まるのだ