心理試験完結編第七章
「ガン」
「黒猫館守護神」
光姫。
「ガン」についてのあなたの意見を述べなさい。
「光姫」
今日における「ガン」の治療は以前より比較にならない程進歩しました。
まず「CTスキャン」の導入。
この機械がガンの早期発見に果たした役割は実に大きいものです。
また手術しなくてはならないガンであっても。
手術後に吐き気、頭髪の脱毛等、非常な苦痛を伴う副作用を伴う抗がん剤を使用する必要性は激減しました。
すなわち。
放射線療法。
そして最新の治療法である「ホルモン療法」。
これらの眼を見張るばかりの進歩は人間がガンを克服しつつある予兆であるのかも知れません。
しかし。
それでも。
以前としてガンに対する恐怖は人間の心に根強く残っています。
それはなぜでしょうか?
わたしの考えを述べましょう。
まずガンという病気は他の一切の病気とは全く性質が異なっています。
他の一切の病気は「外」からくる原因によって発病します。
あの「エイズ」でさえも「エイズウイルス」という病原菌の侵入が原因なのです。
しかし。
ガンは違います。
ガンの原因を食品添加物や環境ホルモンに求める意見は最近多く聞かれます。
しかしガンという病気はならない人はならない。
なる人はなる病気だということに注意してください。
すなわち。
ガンの本当の原因はわたしたち人間の遺伝子に組み込まれているのです。
つまり。
ガンは「内」からくる病気なのです。
この点が他の一切の病気とガンの違う点です。
「遺伝子治療」。
この治療法が発達すればあるいはガンの完全治療が確立される日がくるのかもしれません。
しかし。
残念ながら今日の医学では臨床段階まで遺伝子治療を持ち込むことはまだまだ出来ていません。
それ故。
わたしたち人間は具体的にどうガンと向き合ったら良いのでしょうか?
まずかりにわたしがガンに罹ったとします。
わたしは断固として「告知」を望みます。
そのほうが、今後自分がガンとどう闘ったらよいのか?の明確なビジョンを計画できるからです。
しかし。
世の中には「告知」を望まない人も数多くいます。
それ故、人間はまだ健康なうちにもし自分がガンに罹った場合「告知」を望むか否かの意思をはっきりと表明しておかなくてはいけません。
まとめましょう。
ガンとの闘いはあくまで合理的かつ冷静に行わなくてはならないということです。
一番いけないのは取り乱してうやむやのうちに悪化してゆく病状に心まで流されてしまうことです。
ガンと冷静に向い合うこと。
また例え末期のガンの侵されているとしても。
人間としてのプライドを決して捨てないこと。
それが出来るならば人間はガンに克った(決して勝ったではないにしても。)といえるとわたしは考えます。
「黒猫館守護神」
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