心理試験完結編第六章
「子供」

 

 

 

 

 

「黒猫館守護神」

光姫。
「子供」についての貴方の意見を述べなさい。

 

「光姫」

現在の日本では恐ろしいほどのスピードで少子化が進んでいます。
またその現象と同時並行して起こっている超高齢化社会の到来。
このままではあと20〜30年ほどで完全な逆ピラミッド型人口構成が出来上がります。

そうなった時、膨張した数の高齢者を少数の若者が支えることができるのか?
これはあまりにゆゆしき問題です。

それでは。
なぜ、現在、これほどまで急激に少子化が進んだのでしょうか?
新聞、その他マスコミでは長期不況による各家庭の経済問題に原因を求める論説が多いです。
すなわち。
賃金・ボーナスのカット。
あるいはリストラへの不安。
このような将来への危惧から「子供の養育費・教育費を捻出できない。」
そのような考えが少子化の根底にある。
という考えです。

しかし。

わたしは少子化の問題は経済の問題だけで論じきれものではないと思っています。
わたしの考えを述べましょう。
バブル崩壊後、日本社会にに厭世的なムードが漂っていることはこのディスプレイを見ている皆さんもご存知でしょう。

オウム真理教その他の凶悪犯罪の増加。
少年法をめぐる泥沼的議論。
激動する国際情勢。
それに伴って水面下でじわじとと進められてゆく憲法改正論議。
雇用問題の深刻化。
「引きこもる」若者たち。

長期不況の申し子とも言えるこれらの諸問題が社会に暗い影を撒き散らしています。

それ故。
「今の時代に子供を生んだら自分の子供が可哀相だ。」
このような親の側の厭世的気分が出産にブレーキをかけているのです。

しかし。
わたしはこのような親たちに「ちょっと待ってください」と言いたいのです。

確かに現在の日本で生きることは並大抵の苦労ではないでしょう。
高度成長期のような将来への薔薇色の夢。
そのようなものがほとんどみえない時代が現代だからです。

しかし。

そのような時代に「子供を生きさせたくない」という考えは親の傲慢であることを知るべきです。
あくまで親は親。子供は子供。
親の考えは子供の考えではありません。

かつて。
現在の日本より酷い時代は世界の各地で無数にありました。
しかしそれでもその地域に住む人間が死に絶えるということはありませんでした。
なぜそのような時代で親は子供を生むことができたのでしょうか?

それは端的に言って「子供の可能性」を信じていたからです。
どんなに劣悪な環境でも人間は生き抜いてゆくものです。
そのことは紀元前から続く人類史がいまだに滅亡によって終結していないという事実から明白です。

「子供には無限の可能性がある。」
そう信じるならば現在の日本が陥っている長期不況から、
これから生まれてくる子供たちの努力によって、
日本が奇跡的な脱却をできる。
そう考えるのも無理なことではありません。

このディスプレイを見ている皆さん、
「子供の可能性」というものに賭けてみてはどうでしょうか?

しかし。
わたしは戦中の日本のような、
「産めよ、殖やせよ」
というプロパガンダを此処で行っているわけではないことに注意してください。

わたしの考えはあくまでわたしの考える一例でしかありません。
現実に「子供の問題」にどう対処すべきかは、
このディスプレイを見ている各個人の判断に委ねられています。 

 

「黒猫館守護神」

貴方は光姫の回答に同意しますか? 

 

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