異空間

 

<光姫>

ここは・・・一体!?

<影姫>
くらやみ男爵の高等奥義「大葬儀」を喰らった後、わたしたちはこの場所で目覚めたようですね。
なるほど。
これだったのですね。
くらやみ男爵がいつも言っていた「地獄」とは。
今、わたしたちは「地獄」にいるようです。

<光姫>

お・・・オネエッ!!
わたし恐いッ!!

もしかしたらこのまま永遠にこの空間を漂うことに・・・

どうしたら・・・
どうしたらッ!! 


<影姫>

「地獄あらば地獄の底を行け 水のほとりの鶏頭の花」(阿木津英『紫木蓮より・風舌』より引用。)

<光姫>
オネエ!!

呑気に短歌など詠んでいる場合ではないです!!
このままでは本当にこの場所がわたしたちにとっての「地獄」となりますッ!!

<影姫>

落ち着きなさい。
光姫。
さっきはわたしも取り乱しましたが、現在は自分でも驚くほど冷静です。

それでは光姫。
飽くまで冷静に答えなさい。

もし「神」に「完全な消滅」か「地獄行き」のどちらかを選べといわれたら貴方はどちらを選びます?

<光姫>

地獄なんか行きたくないですッ!!
消滅したほうがずっといいです!!

<影姫>

わたしは「地獄行き」を選びますね。

<光姫>

なぜ・・・なぜそんなことが言えるのですか!?
わたしにはわかりません!!

<影姫>

この宇宙に「完璧なもの」など何一つありません。
もちろん万物創造の神、イエホヴァでさえも完璧ではありません。

それならばイエホヴァが勝手に拵えた「地獄」などという代物にも必ず逃げ道はあるはずです。
希望・・・希望さえ持っていれば地獄からでも脱出できる・・・

これがわたしの持論です。

光姫、わかりますか?

<光姫>

わかります、、、
でも、、
でもッ!!

今、ここからどうしたら脱出できるというのですか!?
具体的な方法があるというのですか!?

<影姫>

落ち着きなさい。
そして思い出しなさい。

「あの日」。

私たちが交わした「誓い」を。