人間の人間による人間のための戦線

 

 

 

<くらやみ男爵>

さあ・・・
もうすべては終わる。

黒猫館館長。
ハムスター大好き。
浮世トミエ。

もはやお前たちに絶対に勝ち目は無い。

光姫と影姫が消滅したからにはな。

三人の惨殺。
そのあとに黒猫館を消滅させる。

すべてが終わるのだ。
すべてが。 

 

<ハムちゃま>

舐めんじゃにゃいでちゅよ!!
くらやみ男爵!!!

全ハムスター界のトップでありゅわたちがおまえをほおむってやりまちゅ!!!

 

<くらやみ男爵>

ふふ・・・
ふぉーーーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・

さっきからなにかとうるさいネズミめが。
いいぞ。
ひねり潰してやる。

かかってきたらどうだ? 

 

<ハムちゃま>

後悔するんじゃにゃいでちゅよ!!!
くらやみ男爵!!!

 

は。

は。

は〜〜〜

 

<くらやみ男爵>

なんだ・・・
この異様な震動は? 

  

<ハムちゃま>

 

はむは〜〜〜〜〜〜!!!!! 

 

<くらやみ男爵>

こ・・・これは?

超音波!?

 

ハムちゃまのオタケビに吹き飛ばされるくらやみ男爵。

 

<ハムちゃま>

見たでちゅか!?
くらやみ男爵!!

これがハムスター界に伝わる伝説の奥義「ハムハム派」でちゅよ!!!

 

<黒猫館館長>

くらやみ男爵。

どんな小さな生き物にも魂はある。
お前はハムちゃまを侮った。

心得ておくことだ。
一見弱く小さく見える者でもその内面には灼熱の闘志が宿っていることを。

おまえはいつも口癖のように言う。
「人間ごときが」
と。

しかし今おまえは人間よりさらに小さく弱いハムスターに一撃を喰らったのだ。

小さき者の怒りを侮るな!! 

 

<ハムちゃま>

夢ニャ。
夢ニャ。

もうちゅかれたでちゅ・・・

オネムの時間。。。 

 

休眠に入るハムちゃま。

 

 

<くらやみ男爵>

ふ・・・
ふぉーーーーふぉふぉふぉーーー!!!

ハムスターの怒りの一撃というわけか?
面白い余興を見せてもらった。

しかし遊びは終わりだ。

黒猫館館長。

今からおまえを惨殺する。

そうだ。
黒猫館の歴史は121代にして終(つい)えるのだ。
黒猫館守護神・オルフェウスよ。
次はお前の番だぞ。・・・

さあッ!!

死ねい!!! 

 

 

<浮世トミエ>

 

舐めんじゃないよ!!この骸骨野郎!!!

 

<くらやみ男爵>

ふふ・・・
ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー!!!

なかなか威勢の良い婆よのう?
婆よ。
そのしなびた身体でわたしと戦うつもりか?

ふふ・・・
ふぉーーーーーふぉふぉふぉーーーーー!!! 

 

<浮世トミエ>

1970年代。
東北全土のスケ番連に「緋牡丹のオトミ」と恐れられたアタシを「婆」だと?
ずいぶん舐められたもんだねえ。
後悔するんじゃないよ!
このゲス野郎め。
アタシも若い頃は散々女の腐ったやつをみてきたが、あんたは極めつけだねえ。
その死臭漂う骨だらけの身体に一撃喰らわしてやるよ。

こいつでね! 

 

スイと着物の袖からドスを取り出すトミエ。

 

<浮世トミエ>

亭主の仇、今こそ討たせていただきます。 

 

<黒猫館館長>

トミエさん止めろ!!

あなたの悔しい気持はわかる。

だが今は駄目だ!!
とにかく抑えてくれ!! 

 

<浮世トミエ>

館長様。

あなたはもう察してらっしゃいますのね?
このわたしが浮世の子を孕んでいることを。

だけど。

ここで下がったら女が廃る。
女一代の意地をこの骸骨野郎に喰らわしてやりたいんです。

 

<黒猫館館長>

大戦後、日本で最も偉大な女流詩人と言われた永瀬清子が言っていた。

「女性は男性より早く死んではならない」と。

そうだ。

あなたには浮世渡郎という一人の偉大な父親の生き様をこれから生まれてくる子供に伝えていかなくてはならない。

それが伝承者としての母親の義務だ。

もし君がここで死んだらお腹の子はどうなる?
そして浮世君とあなたが仙台の学生時代から築いてきた素晴らしい記憶。
それらもすべて消滅してしまうのだぞ!

だから堪えてくれ!!
頼む!!

 

<浮世トミエ>

館長様。。。

 

ぅ・・・・うわーーーーーーー!!

泣き崩れる浮世トミエ。
それを抱きかかえる黒猫館館長。 

 

 

<くらやみ男爵>

女よのう・・・
所詮は女・・・

泣けばそれで済むと思っている。

ふふ・・・
ふぉーーーーふぉふぉふぉーーーー・・・

さて黒猫館館長よ。
これからどうでる?

もう戦力になりそうな者はひとりもいないぞ。
還暦を過ぎた老人であるおまえがわたしに勝てると思っているのかな?

 

その時、聖域入口が突然開いた。

 

<奴隷たち>

館長様、黒猫館の奴隷全員五名、只今到着しました!!

 

<豚男>

館長様、こんな時に地上の檻に入ってたらなんのための奴隷かわかりません。

<隷>

奴隷はたとえ死ぬとわかっていてもご主人様をお守りせねばならないのです。

<ヤプー1号>

ヤプーだって戦いたい!!
・・・弱いけど。

<水着フェチX>

やっぱ競パンもイイっすけど黒猫館もイイっすからね。
ん?意味不明??

<怪人M>

え〜と・・・
え〜と・・・

やっぱりフーリエの理論によればここは黒猫館の味方をしたほうが普遍妥当性があるのかと・・・ん?? 

 

<奴隷一同>

そしてわれら奴隷のリーダー、、、 

 

「優」さんです!! 

 

聖域入り口から一人の青年が入ってくる。
それはかってとは比べ物にならないほど精悍に成長した影姫の最愛の奴隷、「優」であった。 


<優>

館長様、「優」只今、USA、イェール大学より帰還しました。

 

<奴隷一同>

われら黒猫館奴隷一同最後の一人になっても黒猫館のために戦い抜く所存です!!