現代の神話としての『仮面ライダーアギト』
(2002年11月19日)
ハアアアアアアア〜〜〜〜〜ィ!!!ハムちゃまですよ!!!さあて!!!今夜のお題はみなさんお馴染の『仮面ライダーアギト』デス!!マア!!!うれしいデスね!!!。
さてこの『仮面ライダーアギト』従来のヒーローものとは全く異なった展開の番組でしたね!!まず「アギト」とは単なるヒーロー一個人の固有名詞ではなく、人類の進化した新たな「種」の名前であること!!それから敵のボスが「神」として描かれていること!!などなど!!全く新しい展開で一年間わたしたちを楽しませてくれました!!感謝!!
さてさて!!わたしがこのアギトで一番注目したいのは人間に対する「悪意ある神」として描かれた黒服青年のことなのです。「神が人間に対し悪意を持っている」・・・このような発想はHPラグクラフトの一連の「クトウルウ神話」でお馴染ですが、実はこのような発想ははるか古代からあったのです!!
古代ペルシアにおいてイスラム教が発生する以前に国教として定められていたのは、非常にラディカルな二元論的宗教「ゾロアスター教」でした!!ゾロアスター教では悪の神アーリマンと正義の神アフラ・マズタの闘争の場所がこの宇宙であり、「最後の審判」の日にアフラ・マズタがアーリマンを滅ぼし「至福千年」が訪れるだろう、というのが主要教義なのであります!!なんとまあ!!過激な宗教なのでしょうか!?
さてさて!!このペルシアの過激な二元論がヘレニズム時代にヨーロッパ方面に流入いたしました!!そしてその当時まだ正式な教義の固まっていなかった原始キリスト教の一派と融合することで、さまざまな教義をもつ「グノーシス派」と呼ばれる一連の「異端」キリスト教が発生したのです!!おっと!!みなさん!!!ここで「異端」といったのは中世期にはいってからの「呼び方」であってヘレニズム時代にはそもそも「異端」という概念が存在しなかったということをお忘れなく!!!
さて!!この「グノーシス派」、は過激というより「屈折した」という表現がより似合う宗教ですね!!グノーシス派ではなんと悪の神「デミウルゴス」が人間を創造したことになってます!!デミウルゴスは人間を肉体という牢獄に閉じ込めてその精神を苦しめようと企みます!!まあ!!なんて悪い奴なのでしょうか!?しかし人間は知恵(ソフィア)を自分のなかで育むことでさまざまな霊的段階(アイオーン)を経て最終的にはデミウルゴスの支配するこの宇宙から脱出することができると説いているのです。ウ〜〜〜〜ム。なかなか・・・ファンタジックな宗教ではありませんか!!
ここで注目!!『アギト』の物語はこのグノーシス派にそっくりですね〜〜〜!!「悪意ある神」と「進化する人間」の相克の物語!!ここでわたしはヘレニズム時代と現代の共通点を見る思いがするのです!!古代から中世への屈折点であるヘレニズム時代、そして高度成長期から停滞する不況の時代への入り口であるかもしれない現代日本の2001年という時代!!もしかしたらわたしたちは「新たなる中世期」への入り口にたっているのかもしれません!!
そんな2つの時代、グノーシス派とアギトというふたつのそっくりな「神話」が登場したということはわたしにはどうしても偶然とは思えないのです!!「予定調和」という「常識」が次々と崩れ去ってゆく混乱の時代!!そういう時代だからこそひとは世界を悪と呪い、そこからの脱出を願うのかもしれませんね!!アギトの物語はグノーシス派の現代的変奏であるのかもしれません!!
「父を超える息子の物語」・・・・これはアギトの番宣コピーですが「父」=「神」、「息子」=「人間」と考えればピッタリですね!!混乱の時代に生まれた新たな現代の神話、それが「仮面ライダーアギト」の物語であるのでしょう!!
はい。今夜はここまで!!ちょっと固いお話だったかもしれませんがとにかくおやすみなさい!!