『THE ART OF GENGOROH TAGAME』

 

 

田亀源五郎著。H&O(フランス)発行。2007年初版発行。ソフトカバー、大判、外装なし完本。オールカラー。定価13、90€。 

 最近は(2017年)『弟の夫』(月刊アクションコミックス)で、「誇張のない、等身大の」ゲイの姿を描いて、さらなる喝采を浴びておられる田亀源五郎氏であるが、この画集は2000年~2005年にかけて田亀氏のイラストレーションをフランス人のスタッフが編集したものである。
 2000年代から田亀氏はフランスやイタリアでの人気が特に高いという。まさにこういう外国の画集を観ることによって、わたしたちは「国境を超えた」田亀人気を伺うことができる。

 さて本画集は『弟の夫』のようなほのぼのとした作風の田亀氏ではなく、ハードコア・ゲイ・ポルノを専門に描いていた時期の田亀氏の「激しい」イラストレーションを見ることができる。
 本画集は「マンガ・スタイル」「ウェスタン・スタイル」「オリエンタル・スタイル」の三章構成から成っている。そのテーマは基本的にSM画が主体なのであるが、そのイラストレーションの背後にある物語性を感じさせてくるイラストが多く、単なるポルノグラフィーに終わらせないという田亀氏の良心的な配慮が行き届いた良画集と言えるだろう。

 さて本書を筆者はヤフオクで入手したが、サブカル系古書店に行けば安く入手することも可能。
 ぜひ田亀源五郎氏のファンの諸君は本画集で極彩色の田亀ワールドを堪能して欲しいと筆者は切に願うものである。

 

(黒猫館&黒猫館館長)