『クラウス・シュティーベリン蔵書票集』

 

 

ユーロップアート刊。限定100部発行記番。初版1980年4月1日。(重版はなし)折本仕立てちつ入り完本。 

 「収録蔵書票作品」

 ・古沢岩美
 ・井上アルフォンス
 ・篠原佳尾
 ・多賀新
 ・山本六三


 本書はクラウス・シュティーベリンという外国人の名前が入った蔵書票を五人の画家が手がけて、それを一冊の本にしたものである。

 なおこの「クラウス・シュティーベリン」という外国人について詳細は不明。
 名前の語感からすれば貴族、あるいは貴族に準じる人物のような印象を受ける。

 このクラウス氏の明晰な美意識で選び抜かれた五人の版画家による貴族の晩餐会のごとき、豪華絢爛極まりない饗宴がまさにこの本である。
 すでに日本を代表する版画家である古沢岩美と多賀新の参入が大きいのはもちろんであるが、昨今(2014年)驚くべき勢いで人気がうなぎ登りの山本六三とアルフォンス・イノウエをこの時期(1980年)に見出していたのはまさに審美家であるクラウス氏の驚くべき慧眼というべきであろう。

 しかもこの五人の才能溢れる版画家を五人並べても全く凸凹した違和感のないところが本書の特徴である。
 これもまたクラウス氏独自の美学によって選び抜かれた五人だからこその統一感というべきであるだろう。

 単なる蔵書票集であるのみならず、クラウス氏が館長を努める小さな美術館とでもいうべき作品集である。

 さて本書の古書価であるが35000円〜75000円と意外と幅がある。
 特に山本六三とアルフォンス・イノウエの人気が上昇していることから本書の古書価も上昇し続けているらしい。
 心ある古書コレクターの方々、あるいは美術愛好家の方々は今のうちにガッチリ本書を入手しておくことが肝要というべきであろう。
 

 (黒猫館&黒猫館館長)