【中東紀行 69】帰国日
「りりーーーん・・・りりりーーーーん・・・」
わたしは「うわー・・・」と唸るとモーニングコールを止めた。うっすらと目が開く。
「ん・・・」昨日は何をやっていたのだろう・・・確かロシア人が踊りだした所までは覚えている。その後のことはよく覚えていない。・・・なんだかすべてが夢だったような気がする。
「まあ、いいか。」わたしはもそりとベットから起き上がると窓からイスタンブールの街を見た。
ボスボラス海峡を行く豪華客船が見える。
「良い国であったな。トルコは。・・・しかし今日でお別れか。」わたしはちょっぴりセンチメンタルになった。しかしこんな所で涙ぐんでいる場合ではない。
わたしは朝食を採るため服を着替えだした。
レストラン。わたしは例によって先に来ていた斎藤さんの横に腰掛ける。ベーコンをもぐもぐ食べていると斎藤さんが話しかけてきた。
斎藤さん「ちょっと、貴方。さっき森さんに聞いたけど今野さん治ったんだって。」
わたし「で、脱水症状の原因はなんだったんですか?」
斎藤さん「アレルギー。日本にない食べ物をいきなり食べたから当たったんだって。」
なるほど。今野さんも帰ってくるのか。
帰国への準備はちゃくちゃくと進んでいるのだな。
斎藤さん「それにしても昨日の河野さんすごかったわね。」
わたし「はあ、元気すぎるほどでしたですね。・・・」
このたわいもない会話が後々重大な出来事への伏線になってゆくとは、そのときのわたしと斎藤さんには思いもよらなかった。
朝食を食べ終わると、自室に戻り荷物をまとめる。たった一日の滞在だったがインターコンチネンタルはすばらしいホテルだった。いつの日かまた会おう!!
わたしはダッシュでエレベーターからロビーへ躍り出るとバスに飛び乗った。ツアー最後の観光を満喫するために。
(写真は出発時に撮ったインターコンチネンタル入り口)
(黒猫館&黒猫館館長)