【中東紀行 60】チューリップのレリーフ
トルコ石のリングをゲットしたわたしとトルコ石の原石を「孫のおみやげ」に買った斎藤さん。
ふたりはグランドバザールのさらに奥に進んでゆく。
ふと見ると明らかに他の店より巨大で立派な店がある。わたしはまたも斎藤さんを「この店に入りましょう!!」と言って店の中へ連れ込んだ。
中に入るとこれは凄い!
トルコ製のタペストリーやら各種工芸品が所狭しと並んでいる。そのどれもが素人目にも高級品だとわかるグレードの高さ!
店の一番奥に大小のレリーフ(浮き彫り細工)が置いてある。
わたしはレリーフをまじまじと観てみた。チューリップだの鯉だのいろいろな絵柄のレリーフがある。
わたしはレリーフのひとつをひっくり返してみた。
値段が書いてある。なんと100トルコリラ(5700円)!!
高いなあ〜。でもいいものだな〜。などと思っていると店の主人が寄ってきた。
主人「このレリーフはイスタンブールでも有名な職人が作っているものです。その証拠に裏に揮毫(きごう・作者の名前の刻印のこと)が入っているでしょう。」
とてもトルコ人とは思えない流暢な日本語である。しかも痩せ型のインテリ風で今までわたしが見てきたトルコ人とは明らかにタイプが違うお人だ。
揮毫?・・・確かに名前らしきものが彫ってある。なるほど、これはバッタモンではないな。
わたしが例によって値切ろうとした時、主人が言った。
「わたしの店では一切値切りには応じられません。なぜならもしわたしが値切りに応じたら、適正価格より値段を高くつけている、ということになるでしょう。」
・・・なるほど、正論だ。
主人「この店ではトルコリラ、ユーロ、米ドル、日本円、すべて使用できます。ごゆっくりお買い物をお楽しみください。」と言うと主人は引っ込んでしまった。
わたしはこれが最後の買い物だ!とばかり「鯛」のレリーフを買おうとしたら斎藤さんが口を出してきた。
「ちょっと貴方、せっかくイスタンブールで買うんだからチューリップのほうがいいわよ。」
そういえばチューリップはトルコが原産だったな。・・・散々迷ったあげくわたしはチューリップのレリーフを買った。100トルコリラ。もちろん手持ちのトルコリラだけでは足りないので日本円も付け足した。
これで手持ちのトルコリラはゼロになった。
しかし最後にいい買い物ができたぜ・・・と思っていたらもう集合時間!
わたしと斎藤さんはグランドバザールの正門目指して駆け出した。
(画像はチューリップのレリーフ。裏面に作者揮毫入り)
(黒猫館&黒猫館館長)