【中東紀行 56】日本・トルコ、友好の誓い 

 

 

 もぐもぐもぐ・・・
 わたしが寿司を食べていると隣から斎藤さんの声がした。

 「ちょっと貴方。」
 なんだ!?と思って振り向くと斎藤さんは寿司を半分以上残している。
 斎藤さん「わたし、お婆さんだからこんなに食べられないのよ。貴方、若いんだから食べてくれる?」
 
 なんだ、そんなことか。ちょちょいのちょいでわたしは斎藤さんの寿司を平らげた。
 「貴方、やっぱり若いわ〜・・・」と斎藤さん。
 当たり前だ。わたしは青春真っ只中の若者だ。


 ふと顔をあげて周りを見るとツアー一行の視線があるポスターに集中している。そのポスターは日本とトルコの女性が「日トルコ友好」の看板をふたりで掲げているものであった。



 



 長門夫人がため息をついた。「このポスター素敵ねぇ・・・」長門夫人につられてツアー一行の面々もぞくぞくこのポスターを賞賛し始めた。あるおじさんが言った。

 「やっぱり日本とトルコは仲良くしなくちゃな。・・・」ツアー一行がうなずいている。わたしも同感だ。
 日露戦争の時代から日本とトルコは縁があったのだ。
 今後はこの縁をさらに深化させるように日本人・トルコ人ともに努力してゆかなくてはならないだろう。

 さよう、われわれはトルコ訪問者として親トルコ大使として帰国する義務がある。わたしは固くそう誓った。
 ツアー一行も同じ気持ちなのだろう。みな食後のお茶を飲みながらじっとポスターを見つめている。・・・


 やがてお茶を飲み終わったツアー一行は寿司屋を後にしてバスに乗り込んだ。各自、この旅行から大切なものをようやく掴んだかのように。


(写真は寿司屋に貼ってあった日本・トルコ友好のポスター)

(黒猫館&黒猫館館長)