【中東紀行 54】イスタンブール、再び 

 

 

 ツアーついに七日目。
 トルコにきてからまるまる一週間が経ってしまった。

 身体中がぎしぎし痛む。
 恐らくツアー一行全員が同じ気持ちだろう。
 しかしツアーはあと2日。今野さんのようにダウンするわけにはいかない。

 バスの中でぐったり居眠りしていたらいつの間にかボスボラス海峡が窓から見えてきた。この海峡を越えればムコウはイスタンブールである。

 バスがキキッ!と止まる。
 添乗員の森さんの説明がある。

 「はーい!みなさん、おはようございます!!これからボスボラス海峡を遊覧船で横断します!!気をつけて船に乗ってください!!」

 アンカラからバスを運転してくれた運転手さんとはここでお別れ。太ったおじさんであるが優しそうな人である。わたしはバスのおじさんとしっかりと握手してバスを降りた。

 目の前に遊覧船が見える。
 これはまるで昔懐かしい「青函連絡線」のような小さな船である。
 次々と乗船するツアー一行。全員が乗り込んだところでイスタンブールへ向けて船が出発した。



 



 ぽぽぽぽぽ・・・なんだか悲しげな音を立てて船が進みだした。

 わたしは疲れたので遊覧船の客室のソファーの上にぐったりと身を横たえた。ツアー一行の面々もなんだか悲しそうな顔でソファーに横たわっている。

 その時、オキアイさんが現れた。
 オキアイさんはわたしの側に来ると「チャイ(トルコのお茶、砂糖を入れて飲む)、おごってあげます。」と言った。なんという親切なお人よ!もうオキアイさんには頭があがらない。


 



 オキアイさんのおごってくれたチャイを飲みながらしばらくすると見えてきた。見えてきた。ついにツアー一行はイスタンブールに帰ってきたのだ。

 旅の出発点にして終着駅、イスタンブール。最後の最後でツアー一行を待ち受けるものとは・・・?


(写真一枚目はまるで「青函連絡船」のような小さな船の上)
(写真二枚目はオキアイさんがおごってくれたチャイ)

 

(黒猫館&黒猫館館長)