【中東紀行 52】不思議なトンネル

  

 

 

オキアイさん「ここからバスへ戻れます」

 オキアイさんが指差した先にポッカリ穴が開いている。なんだ?この穴は?とツアー一行が不思議がっているうちにオキアイさんはスルリと穴に入ってしまった。
 ツアー一行もこうなると穴に入らざるを得ない。

 穴に入るとヒンヤリする。
 はは〜、、、ここは大コロッセオの出演者のための控え室だったのだな・・・と思っていると、オキアイさんの説明があった。やはりその通り。
 控え室を通ってしばらく行くとトンネルの入り口がある。なにやら不思議なトンネルである。しかも完全なトンネルではなく所々から日が差している。
 オキアイさん「このトンネルは病人の治療と療養のために使われました。」
 なるほど〜。。。こんな涼しいトンネルにしばらく居れば病気など治ってしまうわけだ。さすが昔の人はよく物事を考えている。
 ちなみにこのトンネルで行われたのは「催眠療法」だそうである。病人にアヘンを与えて意識が朦朧とした時に神官が「あなたは良くなる・・・良くなる・・・・」という暗示を与えたそうである。やはり病気などというものは良くなると思えば良くなる性質であるらしい。「病は気から」ならば「治療も気から」というわけか。なるほど。

 ツアー一行がトンネル内で写真を撮ったり、横穴に入ってみたりして遊んでいるとたちまち出口に出てしまった。

 出口でお出迎えなのはまたも犬。今度の犬は寝ているのかなにか知らないが横たわったままピクリともしない。
 そこからバスまではまさにすぐそばである。あのトンネルはやはり距離を縮めてしまう不思議なトンネルであったのかもしれない。

 バスに戻ると今野さんがいない。
 斎藤さんと森さんが交渉している。なんでも今野さんは万が一を考慮してイスタンブールの病院にタクシーで搬送されたそうである。
 哀れ、今野さん、彼女のトルコの旅はエフェソスで終わったのか・・・と考えているとバスが出発した。行き先はエーゲ海沿岸の都市、イズミールで今夜の宿泊地である。

 わたしと斎藤さんはいよいよ終盤に差し掛かったトルコ旅行を前にして兜の尾を引き締めるようにしっかりと前を向いてバスのソファーに座った。


(写真は病人の治療に使われたという不思議なトンネル)

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)