【中東紀行 47】薔薇のように美しい都市文明

 

 

 

 

 

 ツアー一行を乗せたバスが止まる。
 本日の目玉、エフェソス遺跡に到着だ。
 どやどやとバスから降り始めるツアー一行。今野さんは脱水症状が一段落したのかぐったりソファーに寝そべっている。
 可哀想なことに今野さんはバスで休養。エフェソス遺跡見学には参加できないのであった。

 バスから降りると、斎藤さんが寄り添ってきた。
 わたし「な、なんですか・・・?」
 斎藤さん「ちょっと貴方、ついてきてくれる?」
 わたし「はあ・・・」
 斎藤さん「70歳を越えたお婆さんなんだから一人じゃ危ないのよ。」

 それは確かにそうだ。外国で高齢者のひとり歩きほど危ないことはない。たちまちひったくりやスリのターゲットにされてしまうだろう。相方の今野さんがダウンした以上、ここはわたしが斎藤さんの面倒をみてやるしかないか・・・。
 わたしは渋い顔で斎藤さんにOKした。


       


      ※           ※



 さてエフェソスの遺跡である。
 エフェソスの遺跡は現在でも地中海沿岸で暮らす人々から「薔薇のように美しい」と讃えられている遺跡である。実際、ここまで綺麗に残っている古代遺跡は世界的にみてもめずらしいそうである。

 全盛期は古代ローマ時代、人口は最大で25万人を誇ったという。この都市文明に魅せられた有名人は数知れず、アレキサンダー大王、聖パウロ、カエサル、クレオパトラまでがエフェソスを訪れたという。

 わたしと斎藤さんのカップル?がエフェソスの遺跡に入場する。なるほど抜群に保存状態が良い。紀元前に建造された遺跡で現在までここまで残っているとは驚異的だ。
 しかも古代ローマ時代は建造物にカラフルな色がついていたという。全盛期の華やぎを今に残すエフェソス遺跡!と思ったら猫がいた。猫。

 トルコではやたら動物と遭遇する。
 猫はごろごろノドを鳴らしながら人間に向かって「みゃ〜・・・」と鳴く。日本の猫と違って人間を警戒しないのだ。
 猫のノドをなでなでするとわたしと斎藤さんはエフェソスのメインストリートに躍り出た!

(左の写真はエフェソス遺跡入り口)

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)