【中東紀行 43】癒しの足湯温泉

 

 添乗員の森さんからビニール袋をもらって靴と靴下を脱ぐ。
 石灰華段は日本の天然記念物に相当する貴重なものらしいので土足厳禁なのだ。
 石灰華段の入り口には笛を咥えた警備員が二人立っている。土足で石灰華段に入ろうとする不届き者がいたらたちまち取り押さえられることであろう。

 さてゆるゆると石灰華段に入ってゆくツアー一行!
 石灰華段の表面がぬるぬるしていて滑る滑る。
 これはおばさんたち大変だな、滑って転んだら頭打つぜ・・・などと考えていたら案の状「きゅあ!」と叫んでおばさんのひとりが倒れそうになった。森さんが飛んできておばさんをかかえる。

 わたしは小器用にひょいひょい歩いていく。
 するとまるで滝のようにごうごうと流れる温泉が出現!ここで足だけ入浴するらしい。



 


 森さんの指示でまるで小学生のように一列に並んで温泉に足を浸すツアー一行。

 「うわ〜・・・」わたしは思わず唸った。
 4月上旬だからまだ気温は寒い。しかしこの足湯温泉のおかげでどんどん足から身体全体が温まってゆく。
 さらにごうごうと激しく流れる温泉のおかげでマッサージ効果も抜群!6日ぶんの疲れが吹っ飛んでゆくようだ。
 おばさんたちも各自ため息をつきながら癒されまくっている。

 「癒される・・・」とわたしがしみじみ思っていたら森さんの指示が飛ぶ。なんでももう終わりだそうである。ああ〜もっとゆっくり浸かりたい・・・と思っていてもおばさんたちはどんどん引き上げてゆく。
 わたしも温泉から上がってタオルで足をふいた。

 
 温泉のはるか後ろ側には古代のネクロポリス(共同墓地)が広がっている。古代の神殿病院、温泉、ネクロポリス・・・これらの要素が絡まりあって摩訶不思議な雰囲気を醸し出している場所、それがパムッカレの石灰華段なのであった。


 


 ツアー一行は石灰華段から出ると、犬にさよならの挨拶をして次の目的地に向かうためバスに乗り込んだ。

(写真上・中央の二枚は石灰華段の中を流れる足湯温泉)
(写真下は古代のネクロポリス跡)
 

 

 

 

 (黒猫館&黒猫館館長)