【中東紀行 42】石灰華段の朝 

 

 

 パムッカレ、スパリゾートホテルテルマル、AM6時。

 「びりびりびり〜〜〜〜!!・・・」
 モーニングコールが激しく鳴る。わたしはぐったりした身体をゆるゆると起こしながら「うわ〜・・・」と思わず唸った。
 ツアーはもう6日目、正直言って身体中が痛い。一日ぐったり休んでいたいところだがそういうわけにはいかないだろう。
 わたしはムクリと起き上がると、朝食を食べるためレストランに急いだ。


     ※               ※


 「は〜ィ!!みなさん、お元気でしょうか!?今日の観光地は午前中はパムッカレの石灰華段を観て、午後からはエフェソスに向かいます!ではごゆっくり!!」
 いつも元気な森さんがハキハキした口調で言う。森さんは自ら「体育会系」と自称するだけあって、全く疲れしらずなお人なのだ。

 バスはあっという間にパムッカレの石灰華段近辺に到着。疲れた足取りでバスから降りるツアー一行。

 空気がひんやりと澄んでいるのがわかる。遠くにはヒエラポリス神殿跡、微かに漂う温泉の香り。


 


 そんな路地をとぼとぼと歩いていくと犬がいた。犬。
 イスタンブールでは猫がいたが今度は犬。なんだかトルコでは妙に動物との遭遇率が高い。犬は首輪をしていない大型犬である。なんだか怖い。もし噛み付かれたら・・・と思ったら犬の耳のところにカードがついている。これは恐らく狂犬病の予防接種済みという意味だろう。
 安心するツアー一行。

 するとようやく石灰華段に到着。
 台地の一番上に位置するヒエラポリス神殿遺跡から流れ出した温泉に含まれる石灰分が山肌を流れ落ちる時に沈殿・結晶して、このような白い段々畑のような奇観を作り出したのだと言う。


 


 ちなみにヒエラポリス神殿は古代ローマ時代の大病院で、神殿内には治療をつかさどる神官と患者以外の人間は入場できなかったという。

 森さんが再び叫ぶ。
 「はーィ!!みなさん、石灰華段に入場します!!靴と靴下をお脱ぎください!!石灰華段の表面は温泉成分のおかげでつるつる滑ります!お気をつけてください!!」

 ツアー一行は靴と靴下を脱ぐとビニール袋に入れて石灰華段に入場してゆく。

(写真左は犬がいたヒエラポリス神殿跡)
(写真右はパムッカレの石灰華段)

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)