【中東紀行 41】温泉プール入場 

 

 

 温泉プールの入り口に太ったトルコ人が立っている。
 わたしはなんともいい様がないので「オンセーン!」とトルコ人に向かって叫んでみた。

 「オオ!オンセーン!!」
 トルコ人は即座に反応してわたしにバスタオルを渡して「コッチ!」と右側を指差した。

 全く気のイイ連中だぜ・・・トルコ人というやつらは・・・などと考えながら右側の廊下を行き、更衣室に入るわたし!

 その瞬間、いきなり下着姿の金髪美人が更衣室内を横切った。
 「ヤバイ・・・女子更衣室に紛れ込んだのか・・・」わたしの背中を冷たい汗が滴る。
 
 「しかし廊下は一本道で他に行く場所はなかったぞ・・・」
 と思い直したら中国人っぽいおじさんが競泳用パンツに太った身体を押し込んでいるのが見えた。

 「なるほど〜・・・」わたしは直感した。
 この温泉プールの更衣室は男女兼用なのだ。日本では男女兼用の更衣室などありえないが、ここはトルコなのだ。どんなことだって起こりうる。・・・

 すると先ほどの金髪美人が横で下着を脱ぎ始めた。気まずい。なんとも気まずい。
 イスラム圏の人間は性に対して厳しい倫理観を持っている、と日本にいる時わたしは考えたものであるが、蓋をあけてみればなんのことはない、日本より性に対して大らかだったのである。

 更衣室の横にはシャワールームもある。ここも男女兼用。中からスッポンポンの女性が出てきた。
 「いやらしいと思うやつがいやらしいのだ。裸体は人間のあるがままの姿、なんらいやらしいことはない。」とわたしは考え直して、わたしも海パンに着替えた。

 そして温泉プール本体へ入場!
 でかいプールである。25M以上はある。天井はガラス張りで満天の星空。プールの横にはバーのカウンターが設置されており、水着の男女がワインをあおっている。

 わたしは緊張しながら温泉プールに入った。なまぬるい・・・この温度ではとても泳げないであろう。やはりここは温泉なのだ。泳ぐための場所ではない。
 するとプールの真ん中で白人の男女が抱き合っている。彼らはピクリとも動かない。

 わたし「全く目のやり場に困るぜ・・・」などと考えながら犬掻きをしてぽちゃぽちゃ水遊びをしてみた。次にもぐったり沈んだりして遊んでみた。白人の男女はまだ抱き合っている。

 わたしはいいかげん熱くなってきたので、プールから上がってシャワーを浴びた。

 シャワーを浴びてさっぱりしたわたしは再び更衣室に戻る。
 今度は白人の子供が沢山いた。
 わたしはすばやく着替えると再び更衣室を出て入り口の太ったトルコ人に挨拶した。

 「センキュー!!」
 パムッカレの夜は更けてゆく。・・・

(本日は場所が場所だけに写真はなし)

 

 

 (黒猫館&黒猫館館長)