【中東紀行 39】親日国・トルコ 

 

 

 

  

 

 コンヤからパムッカレまで約440キロ。
 あまりに長い道程にツアー一行がぐったりしていると、一行を慰めるようにオキアイさんがお話を始めた。

 「みなさん、トルコ石の店はどうでしたか?
 ・・・高くて買えなかった?ハッハッハ。」

 オキアイさんの初めて見せる「笑い声」にツアー一行がムクリと起き上がった。
 
 「さてみなさん。わたしはもちろん日本と日本人が大好きです。そしてわたしに限らずトルコには日本が好きな人が沢山います。
 なぜでしょうか?わたしはここで有名なお話をさせていただきます。」

 「有名なお話」というオキアイさんの言葉にますますおばさんたちの興味が注がれる。

 「みなさん、日露戦争をご存知でしょう?、あの戦争で日本はロシアを破りました。そのことでトルコは多大な恩恵をこうむったのです。」
 「ロシアはあの当時、黒海沿岸から南下しようとする戦略を練っていました。もちろんロシアが南下してくれば危ないのはトルコです。
 しかし極東でロシアが日本に負けてしまった。これでロシアは南下するどころではなくなったのです。」

 なるほど〜。いかに当時のロシアが大国とはいえ、黒海沿岸と極東の2箇所で同時に戦争することはできないものな。
 トルコにとっては「敵の敵は味方」というわけか。

 「ロシアのバルチック艦隊を破った東郷さんはトルコでは有名人です。トルコでは「ヘイハチロー」という名前を自分の子供につける人もいます。また「トーゴービール」というビールがトルコ各地で売られており、東郷さんは現在でもトルコ人に親しまれています。

 日本ではそれほど知名度の高くない東郷さんもトルコでは有名人ということか。とにかく東郷さんのおかげでトルコと日本が仲良くなれたのは喜ばしいことだ。わたしは深く納得した。

 オキアイさん「現在のトルコ人の一番行ってみたい国は日本です。わたしはトルコと日本が今後ますます友好関係を深めていってくれたらと願っています。」

 日本と日本人に親愛の情を持って接してくれるトルコ人、わたしは日本人のはしくれとしてトルコとトルコ人をもっと良く知らなくては、と深く納得した。

 バスは今晩の宿泊地・パムッカレに向かってますます速度を上げてゆく・・・

(写真は東郷平八郎)
 
 

 (黒猫館&黒猫館館長)