【中東紀行 34】イスラム美人
おばさんたちが競いあうようにじゅうたんを買っているカウンターから離れてわたしはぶらぶら歩きだした。
すると部屋の片隅のドアが開けっぱなしになっている。
わたしはこのドアから隣室に侵入した。
意外と広い部屋である。中には丸めたじゅうたんが縦にしてたくさん立てかけてある。
「ぎー、ばったん・・・ぎー、ばったん・・・」
じゅうたんを織る音が部屋の隅から聞こえる。
良く見てみるとスカーフを巻いた女性がじゅうたんを織っている。
くるりと女性が振り向く。
おばさんではなかった。若い女性である。しかも美人!
その褐色の肌とパッチリした双眼はまるでファーストガンダムのララァとか少女革命ウテナの姫宮アンシーのような雰囲気である。
わたしはおずおずと後ずさりした。緊張の汗がしたたり落ちる。
わたし「は、はろ〜・・・」
イスラム美人「こんにちはー!」
イスラム美人はなぜか日本語で挨拶した。
わたしが緊張してコチコチになっているとイスラム美人は「しゃしん、OK!」と声をかけてくれた。
わたしがデジカメを首からぶらさげているのに気がついたのだろう。
おずおずと写真を撮らせてもらうわたし!
この時の写真が↓の写真である。
・・・と、気がつくとじゅうたんを買い終わったおばさんたちがわたしの後ろに立っている。
「ほら!貴方、若いんだから一緒に写真撮ってあげるわよ!」とおばさんにハッパをかけられ、わたしはイスラム美人と一緒に写真を撮ってもらった。「パシャ!!」
最後にわたしは名も知れぬイスラム美人と握手をする。
イスラム美人はにっこり笑って「ありがとー!」と言った。
このイスラム美人との邂逅はカッパドキアでの良い思いでとなった。
ツアー一行はじゅうたん屋から出るとバスに乗り込み、次の目的地に向かった。
(黒猫館&黒猫館館長)