【中東紀行 32】伸びるアイスクリーム

 

 

 おみやげ屋さんが連立するドヤ街から広場へ出たわたし。

 その瞬間パァ・・・!と視界が開けた。
 まるでグランドキャニオンのような絶景!

 わたしが絶景に感動していると斎藤さんとその相方・「今野さん」が立っている。
 彼女たちは手になにかお菓子のようなものを持ってペロペロ舐めている。

 斎藤さん「貴方もこっちきなさいよ!ほら、若いんだから食べなさいよ。トルコのアイスクリーム。」
 斎藤さんの前には屋台があってトルコ人のアイス職人がなにやらを棒でこねくりまわしている。
 よく見ているとこれがなんと伸びる、伸びる。


  


 まさに
 「ねるねるねるねは、ヘッヘッヘ。ねればねるほど、色が変わって。。。こうやってつけて。うまい!てーれってれー」
 の世界なのだ。アイスクリームは信じられないぐらいの長さにどんどん伸びてゆく。

 アイス職人は伸びるアイスクリームをカップにポンを入れるとわたしの前に差し出した。「5トルコリラ」。

 5トルコリラなら安い。わたしは伸びるアイスクリームを受け取ってさっそく食してみた。

 ・・・不思議な味である。バニラのようでもあるし、ココナッツのようでもある。もちもちとした粘り気のある食感が未知の雰囲気を醸している。
 斎藤さん「どう?美味しいでしょ!?」
 と斎藤さんに詰め寄られてわたしは「いや〜、まあ、不思議な味ですねえ・・・」と頭をかいてみせた。

 周りを見るといつの間にかオキアイさんも森さんも伸びるアイスクリームをペロペロしている。
 森さんが口を開いた。「みなさん、このアイスクリームは「ドンドルマ」と言って世界的に有名なアイスクリームです。心して味わってください。」

 ツアーの人々の話によると日本でもこの「ドンドルマ」はデパートなどで販売されているらしい。この項の読者諸君もぜひ「ドンドルマ」を味わってほしいと思う。それほど不思議な食感のアイスクリームである。

 神秘の国、トルコの伸びるアイスクリームを堪能したツアー一行は次の目的地に向かってバスに乗り込んだ。
 

 

(黒猫館&黒猫館館長)