【中東紀行 30】地下都市への入場
オキアイさんが先にカクマイルの地下帝国へ入る。オキアイさんが先頭、森さんが後備を守る、といういつもの布陣でツアー一行は地下帝国へ入場した。
風がひんやりする。
最初はただの洞窟のような雰囲気であったが、除除に眼が慣れてきた。これは凄い。アリの住居のように縦横無尽に通路が分裂・連結している。
日本の鍾乳洞は自然に形成されたものであるが、地下帝国はあくまで人工物である。紀元前何千年にこのような物件を建造したというテクノロジーには驚かされる。
オキアイさんはやたら地下帝国の通路を歩くのが早い。おそらく何度も観光案内して慣れているのだろう。スイスイ歩くオキアイさんの後をおじさんやおばさんたちがハアハア言いながらついてゆく。
普段、おしゃべりしている時はやたら力強いおばさんたちもかなりこれには堪えているらしい。
わたしはおばさんたちの後につけて、はぐれないように注意深く歩いてゆく。
礼拝堂と思われる広い部屋に出たり、敵の侵入を防ぐための巨岩があったり、ワインの貯蔵庫と思われる部屋に出たり、トイレとして使われていた部屋を通ってオキアイさんはスイスイ地下へ降りてゆく。
大丈夫なのか・・・おい。
わたしはだんだん心配になってきた。
これだけ複雑な地下帝国で道に迷ったらどうなるか。
もしここでツアー一行とはぐれたら永久に地下帝国を彷徨い続ける運命が待っているだろう。わたしはゾクッ!とした。
狭い通路をツアー一行は歩く、歩く。
だんだん寒くなってきた。
おばさんたちも不安そうだ。
とここでオキアイさんが止まった。
オキアイさん「もう危険なのでここで引き返しましょう。
ちなみにここは地下五階です。」
地下20階以上ある地下帝国であるが結局、地下五階で引き返すことになった。オキアイさんがおばさんたちの様子を見てもう無理だと判断したのであろう。
ツアー一行が上へ上へと登ってゆく。
空気が暖かくなってゆく。
生還した・・・ツアー一行はようやく出口から出られた。
しかしわたしは痛感していた。
これは凄い物件だぞ。おそらくエジプトのピラミッドなみに凄い。凄すぎる・・・とわたしがぼんやり考えていると森さんが大声を出した。
「ハーイ!!みなさん!地下帝国は堪能されましたでしょうか。これからバスに乗って移動します!!その前に30分間の自由時間を取ります。以上!」
ツアー一行はおみやげ屋さんの散在する地下帝国入り口で一回散会した。
(写真一枚目は地下帝国入り口付近)
(二枚目は敵の侵入を防ぐための円形型巨岩)
(黒猫館&黒猫館館長)