【中東紀行 22】考古学博物館見学

 

 

 バスが考古学博物館の前で止まる。

 駐車場は周り一面バス・バス・バスである。
 それもトルコのバスだけではない。ヨーロッパ全域から考古学博物館へ集合してきたのがわかる。とにかく凄い数のバスである。

 添乗員の森さんを先頭にツアー一行はバスから降りて考古学博物館に入場する。すると今度は子供の大群が押し寄せてきた。

 子供といえども日本の子供とは違う。
 スリのプロもいるのだ。
 わたしはカバンのファスナーを握り締めた。

 やがてユーモラスな形状の地母神像が現れる。
 なんだか小錦に似ている感じがする。
 地母神像とは豊穣の女神であり、考古学博物館にあるものは紀元前6000年のものであるという。
 それにしても紀元前6000年とは。驚くべき年月である。キリストが生まれる前をさかのぼって6000年。わたしはあっけにとられた。


  


 さらにゆくと古代ヒッタイト人の持ち物がつぎつぎ現れる。
 古代ヒッタイト人とは古代エジプトを時期を同じくする人類最古の文明人のひとつである。

 ヒッタイト人の墓に一緒に埋葬された牛の像やらヒッタイト王が死んだ時にその妃の涙を入れたという「涙壺」やらが現れる。
 こうした不思議な物体の数々にわたしは悠久の古代のロマンに陶酔していた。

 をお!!大いなる悠久の時よ!
 そして悠久の時を生きた遥かな人類の始祖よ!


   


 横ではドイツ人が熱心に遺跡に見入っている。ドイツ語の発音が独特だからドイツ人とわかるのだ。ドイツ人は世界一勉強熱心な国民である。中にはメモ帖に遺跡をスケッチしているドイツ人もいる。

 わたしが遺跡よりドイツ人に感心しているとたちまち出口へ来てしまった。
 意外と小さい博物館であった。
 わたしは家族へのおみやげの鷹の像を買って外へ出た。

 森さんが叫ぶ。
 「ハーィ!!みなさん、考古学博物館はいかがでしたでしょうか!?これから昼食を食べにレストランに向かいますのでバスに乗ってください!!」

 わたしとツアー一行は古代のロマンへの感動に咽びつつバスへ乗り込んだ。

(左はユーモラスな形状の地母神像。
 右は考古学博物館内部)

 (黒猫館&黒猫館館長)