【中東紀行 11】スルタンの夢 

 

 

 ブルーモスク、アヤソフィア、と二連続の見学でわたしはだんだん疲れてきた。しかしまだ本日の見学地はトプカピ宮殿、地下宮殿、ハーレムが残っている。
 
 「70過ぎたら海外旅行は無理」と言われるが、その意味がわたしにもわかってきた。海外旅行とは体力との勝負なのだ。

 さていよいよ次なる見学地、トプカピ宮殿に「表敬の門」より入場。
 
 「トプカピ宮殿」とはオスマントルコの代々の支配者(スルタン)の住居であり、現在は博物館になっている。

 表敬の門をゆるゆるとくぐるとこれは豪華!出てくるわ、出てくるわ、財宝の数々。

 金・サファイア・ルビー・ヒスイ・真珠と世界各地の宝石から、豪奢をきわめた燭台、茶碗、刀、ベット、衝立、その他もろもろ。

 これらがたったひとりのスルタンの持ち物であったというのだから凄い。まったく信じられないほどゴージャスな世界で日本の金持ちとはスケールが違うのだ。

 かってのスルタンの底知れぬ財力を見せ付けられながら、わたしはじぶんのこころに誓っていた。

 「み・て・ろ!俺だってスルタン以上に成り上がってやる!!そして一代でトプカピ宮以上の莫大な富を築きあげてやる!そして今まで俺を笑ったやつらを笑い返してやる!・・・見てろ・・・今に見てろ!・・・」

 トプカピ宮殿の豪奢な財宝は前途ある日本人の一青年を大いに触発するのに役立ったようである。めでたし。めでたし。

 トプカピ宮殿出口でオキアイさんが待っていた。
 オキアイさんが真剣な表情で口を開く。

 「みなさん、いよいよ本日の目玉である地下宮殿に入ります。足元に気をつけてください。」

 実はわたしも地下宮殿は以前から気になっていたのだ。
 さあ、地下宮殿の内部でわたしが目撃した驚くべき物件とは?

(トプカピ宮殿内部では撮影禁止なので写真はなし)

  

(黒猫館&黒猫館館長)