【中東紀行 10】ブルーモスク入場

 

 

 

 

 「あや〜や〜ややや、やあ〜ああああやあやああ〜・・・」

 わたしがブルーモスクの内部に入ろうとした瞬間、ものすごい大音量で謎の声が聞こえてきた。しかもブルーモスクの各所に配置されているスピーカーから拡声されている。

 「なんだ!?この声は!?いったい!!」

 とわたしが警戒していると現地ガイドのオキアイさんが、
 「これはコーランの朗読です。気にしないでください。」と声をかけてくれた。

 それにしてもすさまじい大音量である。耳が痛くなりそうだ。恐らくこれから礼拝が始まるので流しているのであろうが、これは「朗読」というより「絶叫」に近い。・・・

 などと考えながらブルーモスクに入ろうとしたら入り口でビニール袋を渡された。これに靴を入れて靴下で入るらしい。これは極めてアジア的な風習である。アジアとヨーロッパの中間地点、それがイスタンブールなのだ。

 さらに看板が立っている。「タンクトップ・キャミソール・ショートパンツ禁止」。日本人には少ないがヨーロッパ人には少なからずタンクトップの女性がいる。そういう女性は可哀相なことにブルーモスクに入場できないのであった。



 さて靴袋を持ってブルーモスクに入場。
 入って見ると内部の装飾に青いタイルが使われている。これが「ブルーモスク」という呼称の源流なのである。

 ここでツアーは一旦解散。
 再集合は20分後。

 わたしはモスク内をぶらぶら歩きながら、礼拝しているトルコ人の真似をしてみることにした。
 モスクの床に座して土下座する。そして「大いなるアッラーの神よ・・・」などともぐもぐ声に出してみた。

 日本語がわかる人が周りにいないので、誰からも注目されないのが幸いだ。わたしはさらに床に頭をこすり付けてイスラム教徒になったふりをしてみた。

 それにしてもなんという冷たいじゅうたんであろうか!何万人、何億人のイスラム教徒の額の汗を吸い続けてきたじゅうたん!冷たいのも無理はない。

 わたしが感慨にふけっていると、もう20分たっていた。次の見学地、アヤソフィアに向かうため、わたしはいそいそと立ち上がってブルーモスクの入り口に向かって歩き出した。

(写真はブルーモスク全景)

 

 

(黒猫館&黒猫館館長)