【中東紀行 06】トルコのテレビ番組 

 

 

 大型バスが深夜のアタチュルク空港を出発する。

 ツアーの面々はどの顔も疲れきっている風情である。
 わたしは一番前の席に陣取って初めて見る未知なる大地・トルコの街に目を見張っていた。

 どういうわけかやたら坂が多い。
 建物は洋館風が多い。一見するとヨーロッパの街と見分けがつかない。
 やがてバスはイスタンブールの街に入った。ボスボラス海峡の夜景を横目に見ながらバスが走る、走る。海峡には豪華客船が何隻も停泊している。なるほど〜、イスタンブールには世界中から観光客が押し寄せているのだな・・・と思ったら今夜の寝床・マルマラホテルに到着。
 
 時間はPM9時。

 ぞろぞろとバスから降りるツアー一行。
 添乗員さんから明日の予定の紙をもらいツアーの面々は自室に急いだ。

 バタン!
 わたしも自室に駆け込みベッドに倒れこんだ。



  



 「つ・・・疲れた・・・」
 とうめきながらもわたしはニヤリと笑った。
 外国のホテルでのお楽しみ、それは外国のTV番組を観ることだ!

 わたしは即座にTVのスイッチを入れた。

 画面ではトルコ人の男女が3人テーブルに座っている。男性2人。女性1人。司会らしき男がミキサーで牛乳とバナナとミックスしてバナナジュースを作っている。
 やがてバナナジュースが巨大なジョッキに注がれ、テーブルの3人の前に置かれる。
 そのジュースをひとりひとり飲んでゆくトルコ人3人!

 一杯目はなんとか3人とも飲み干した。
 やがて二杯目のジョッキが置かれる。顔をしかめながらひとりひとりジュースを飲んでゆく。特に女性がつらそうだ。

 それでもなんとか3人とも飲み干した。
 すると無情にも3杯目のジョッキが3人の前に置かれる。キツイだろう。これは、相当。

 それでも男性ふたりはなんとか飲み干した。問題は女性である。顔をしかめながら途中まで飲んだ。その時異変が!

 いきなり立ち上がった女性がまるで土下座するように丸くなるとなんとゲエゲエ吐き始めた。

 ここでゲーム終了。
 女性は敗者のはずなのになぜか賞品をもらった。




 「え・・・えげつな〜・・・」
 日本のバラエティ番組と同じかそれ以下の俗悪さである。
 厳格&崇高なイスラム教徒の国・トルコのTV番組がこんな俗っぽいものであったとは。
 アッラーの神がこのTV番組を観たらどう思うのであろうか。

 結局、どこの国でも人間は根っこの部分では同じということか。

 わたしはトルコのTV番組に呆れながらシャワーを浴びてベットに就いた。時間はAM1時。

 明日は早い。早く寝なくては・・・
 と思った瞬間ポトンと眠りに落ちた。

 

 

(画像はイスタンブール・マルマラホテル)

(黒猫館&黒猫館館長)