【中東紀行 03】トルコ人になったお母さん 

 

 

 「トルコはすばらしい。。。」

 とつぶやきつつ母がトルコ旅行から帰ってきた。
 と言っても今年の話ではない。
 わたしがトルコへ旅立つ2010年に先立つこと3年、2007年のことである。

 もともとわたしの母は大の旅行好きである。フランス・スペイン・ドイツなどヨーロッパはほとんど行っているし、さらにその次は父と一緒にエジプトに行った。

 その母がいきなりトルコへ行きたいと言い出した。
 トルコに対してほとんど知識のなかったわたしは首をひねった。「トルコとは・・・?」

 しかしうちの母はもともとイスラム圏に非常な興味を持っている人間らしく、岩波文庫版『コーラン』などは20代のころにすでに読破しているらしい。20代で『コーラン』を読んでいる人間など滅多にいない。

 そんな母が本当に9泊10日のトルコ旅行に本当に行ってしまった。わたしはなぜか唖然としたものである。
 そんな母がトルコ旅行から帰ってきた。
 母は目を輝かせて叫んだ。
 「トルコはすばらしいッ!」
 母はイスタンブールのエキゾチックな世界観やカッパドキアの地下王国の神秘についてわたしに延々と語った。

 それどころか最後は「飛んでイスタンブール」を歌いながらベリーダンスの真似事をし始めたりする。

 これは尋常ではないな・・・トルコはさぞやすばらしい黄金の国に違いない・・・つくづくわたしは思ったものだ。

 

 そして時は過ぎて2010年、今度はわたしがトルコに行けることになった。母は叫んだ。「トルコに行ける機会なんか一生に一度ぐらいしかないんだからねッ!!」

 わたしはうんうんと頷きつついまだ見果てぬ大地「トルコ」への思いをはせていた。

 こうしてわたしのトルコ旅行決行は決定したのである。

 出発は2010年4月6日。・・・

 その時は刻一刻と近づいてくる。・・・

 

 (黒猫館&黒猫館館長)