【中東紀行 01】猫のいる街から
「にゃおーん!」
横から突然猫の鳴き声がした。
ふと振り向くと白黒ぶちの猫が石垣の上にちょこんと座っている。
わたしが接近しても全然うろたえる様子もない。
わたしは猫の首を掴んで撫で回した。
「ごろごろごろ・・・」
猫が喉を鳴らす。
2010年4月上旬、トルコのイスタンブールに遊んだわたしは街のあちこちに点在する猫の多さに仰天していた。
とにかく右を向いても猫、左を向いても猫なのだ。
しかもイスタンブールの猫は日本の猫と違って極めて人なつっこく、接近しても絶対に逃げることはない。
またイスタンブールの人々もさして猫に関心をもってはいないようだ。わたしは旅行客以外の人間が猫を撫でている風景は一度も見なかった。
まさしく人間と猫が対称性を持って(均等に)存在している街、それがイスタンブールという街に対するわたしの第一印象である。
またイスタンブールの猫はどういうわけか白黒ぶちの猫が多い。またオッドアイ(左右非対称の眼の色のこと)の猫が多いので極めて神秘的な印象を受ける。
かくしてわたしのトルコ旅行はイスタンブールの猫との邂逅から始まったのである。
(黒猫館&黒猫館館長)