いよいよルーブル美術館の彫刻置場から絵画の部屋に入ったツアー一行。
なんだか誰が描いたのか良くわからない絵ががらがら並んでいる。どういう順番で並んでいるのかも不明だ。
それでも現地ガイドの中村さんはどんどん進んでゆく。
いくら時間がないからと言ってこれはもったいないな〜・・・と思いつつわたしはアッ!と仰天した。
そこにはフィレンツェのウフィツィ美術館でご対面したクラナッハさんの絵が!!
相変わらずクラナッハさんってば。
とわたしは少々呆れはてた。この「ヴィーナス」を観てごらんなさい。なんという不健全、不気味、妖しげな裸体なのであろうか。
バックの暗く鬱蒼とした森もオバケの類が出てきそうな雰囲気である。
呆れ果てているうちにツアー一行はどんどん進んでゆく。
わたしも迷子になったら大変なので、急いで写真に撮るとクラナッハさんにしばしの別れを告げた。
と中村さんを先頭とするグループが立ち止まった。そこにはあまりにもグレイトな一枚の絵がっ!
まさに「大きいことはイイことだ。」の世界なのである。しかし観よ。「ナポレオンの戴冠」は単に大きいだけではない。細々と描かれた多くの人々、これらの人々はみなひとりひとり「意味」を持っているという。まさにグレイト。まさに絵画の王道たる素晴らしさにわたしは圧倒された。
わたしがポカンとしていると中村さんはすぐさま歩き出した。金魚のウンコのごとく付きまとってゆくツアー一行!わたしも最後尾をあたふたを駆けていく。
と非常に小さな絵の前で中村さんが立ち止まった。
わたしの知らない絵である。しかもまたしてもマリアさま。
どうしてこの絵がそんなに重要なのか!?
とわたしが戸惑っていると中村さんの講釈が始まった。
なんでもマリアさまがイエスに「おっぱい」をあげている絵は非常にめずらしいだけではなく絵画史上非常に重要なポイントなんであるそうだ。
つまりこれは恐れおおい「聖母マリア」から親しみやすい「人間マリアさま」への変節を表したもので、ルネッサンスの特長である「人間性回復」が端的に表現されているそうである。
キリスト教圏から遠く離れた辺境?の地に住む者としては「そんなにこれが重要なんかな〜??」と疑問であったが中村さんの熱弁は止まらない。
わたしがまたしても大いなるキリスト教文明の偉大さに度肝を抜かれてポカンとしているといつの間にか中村さんとツアー一行は次の絵に移っていた。
あわてて後を追うわたし!
とそこにはあまりにも有名な「あの絵」が!!
(黒猫館&黒猫館館長)