『エネマグラ教典』

 

   

 

太田出版発行。2004年8月15日第一刷。(注意!重版も存在します!)クーロン黒沢・ポッチン下条著。カバ帯完本。

 「エネマグラ」なる器具が最近ひそかに男性の間で流行しているという。

 わたしもこの「エネマグラ」なる器具に興味深々であったので、ある友人Aに「エネマグラ」について聞いてみた。すると友人Aは即座に「『エネマグラ教典』という本を読め!」という。そこで本書を取り寄せて読んでみて納得した。
 「エネマグラ」とはまさに現代の性に悩める男性諸氏に対する福音にも似た器具である。

 さて男性には「前立腺」という器官が膀胱の真下にある。この前立腺を上手く刺激して快感を得ようというのが「エネマグラ」という器具の主旨である。しかしエネマグラで得られる「快感」は男性型の「射精の快感」とは異なる。「ドライ・オーガズム」と呼ばれる女性型の快感である。

 このドライ・オーガズムが上手く得られれば大の男が「獣のように泣き叫ぶ」ほど凄まじい快感が得られるという。まさに射精の快感など比べものにならないほどの長さと強烈さを伴った快感が得られるのだ。

 しかしエネマグラを使用してドライ・オーガズムを得ることはそう簡単なことではないらしい。
 とそこで登場したのが本書である。
 
 本書は「正しいエネマグラの選び方」(エネマグラはもともと医療器具である。)、「事前の浣腸の仕方」「アナルへのエネマグラ挿入時の姿勢について」など詳細にエネマグラの使用方法が記されている。まさに「エネマグラのバイブル」と言って良いほど内容は濃い。

 さらに風俗書籍にありがちな暗さがないのが本書の特徴である。
 時にユーモアを交えながらエネマグラと男性の性について考えてゆこうとする本書の姿勢は割目モノである。

 男性の性は現代では隠蔽される傾向がある。そのような風潮に反して明るく男性の性について問題提起し、エネマグラを使って男性も女性に劣らない快感を得ることができると主張している本書をわたしは自信をもって現代の悩める男性諸君に勧めたい。本書を読んでひとりでも多くの男性諸君がドライ・オーガズムを得ることができたなら、わたしとしてもこれに勝る喜びはない。

 ついでに付け加えるならばエネマグラの効用はインポテンツ・勃起不全にまで及ぶという。
 そちらの方面でお悩みの諸君にも本書はお勧めである。

 

(黒猫館&黒猫館館長)