ついにスペイン広場の真ん中でひとりぼっちになってしまったわたし。
「さあ!これからどうする!?生きるか!それとも死ぬか!?このローマの真ん中で!!」
運命がわたしに厳しく問い詰める。
わたしはまず自分を落ち着かせた。
「冷静になれ!冷静になれ!自分よ!道はある。どうにかなる!!あくまでその道を探せ!!」
わたしはまず「日程表」を取り出して今夜泊まるホテルを確認した。案の状「電話番号」が載っている。がしかし。
「ダメだ!日本語が通じない!!」
次に吉永さんのケータイの番号を確認する。
しかしこの電話は「直通」ではないのだ。ローマからロンドンの電話会社に転送され、そこからさらに日本に転送され、日本の電話会社から再びローマへ転送されて吉永さんのケータイに通じるのだ。
恐らく10秒程度で切れるのは必至!
「このケータイは最後の最後の手段として取っておこう!」
結局わたしはリムジンバスの中で、吉永さんが言った言葉を反芻してみた。
「・・・ハーィ!!ここが三越です!!円も使えるし日本語が通じます!!困ったことがあったらここで相談してくださーい!」そうだ、三越だ!三越を目指そう!イタリア人にも「ミツコシ」といえば場所を教えてくれるかもしれぬ。
わたしはまず軽率な行動を避け、まず「もときた道を慎重に戻る」ことにした。スペイン広場からトレビの泉へ。わたしはテクテク歩いてゆく。 道端に座っている黒人たちがニヤニヤしながらわたしを観ている。
わたしの背中から冷たい汗がしたたり落ちた。
やがてあっけなくトレビの泉へ到着。その横から大通りへ出て三越を目指すわたし!
ふと時計を観ると2時を回っている。なんだかお腹が減ってきた。
幸い眼の前にマクドナルドがある。ここで昼食を食べよう。
マクドのカウンターでわたしはまず「オレンジジュース」を注文した。
すると・・・
「10ユーロでーす!」(英語)
オレンジジュースが10ユーロ(約1700円)!?
ただでさえ混乱していたわたしの頭がクラクラしてきた。「そんなバカな!?」高すぎる!!吹っかけか!?
なすすべもなくマクドナルドのカウンターでしどろもどろになっているわたしを観て、マクドナルドの若い女性店員の口元が微かにニヤリと歪んだ。
(黒猫館&黒猫館館長)