逃走
<まだらミイラ>
ひひ・・・
逃げるのか?
おまえは逃げるのか?
・・・
パパは許さぬぞ。
モラトリアムな息子は許さぬぞ・・・
「引きこもり」にはまず「アルバイト」を経験させねばな・・・
「社会」を知るんだよ・・・
世間知らずな息子めがッ!!
優しいなあ・・
わたしは。
これはおまえの将来を思っての教育だ。
おまえを「大人」にしてやらねばな。
ひひ
ひーーーーーひっひひーーー・・・
ほら、
逃げろ・・・
逃げてみろ。
逃げろーーーーーッ!!!
世界の果てまでも。
でも逃げ切れるかな。。。
一生、逃げて逃げて逃げて、そうやって生きてゆくのか。
それもひとつの生き方だろう。
でもパパは認めないぞ。
わたしは厳格なのだ。
おまえの教育にかけては特にな!!
ひひ
どこまで逃げても追いかけてくる。
それがダークロンというものだよ。
「闇の掟」を身を持って知るがいい。
あの「闇姫様」が言っていただろう。
「脱走は極刑」と・・・
怖いぞ・・・
怖いぞ・・・
本当に怖いのはこれからだぞ。
おまえに耐えられるかな。
ダークロンから逃走した者が辿る末路を・・・
さあ・・・
どうした?
もう終わりか。
逃げないのか。
そうか!
もうあきらめたのか!!
いいぞ!
「あきらめ」は大事なことだよ!!
「自分の限界を知る」・・・
これは大事なことだ。
大人への第一歩だよ・・・
光姫はどうしたかって?
助けにこないさ。
黒猫館館長も、浮世渡郎もここには来ない。
孤独さ・・・
おまえは孤独なんだ。
「人間は神の前にひとり単独者として立つ」
いい言葉よのう。
こんな言葉を吐く「人間」が大好きだよ!
ひひ
さあ、捕まえたぞ。
臆病な息子は鍛えてやらねば。
それがパパの役目だ。
・・・いい父親だろう。
わたしは。
ひひーーーーッ!!
そら。
そら。
触手がおまえの鼻の穴から入ってゆくぞ・・・
ずるずると。
ミミズは小さな穴へ入りたがる。
それと同じさ・・・
さて、
どうなるのかな・・・
あの男のように脳味噌を吸いだされるのかな・・・
それとも、
あるいはもっと恐ろしい運命が?
おまえに??
ひひ
ひーーーーっひっひーっひーーー
気が遠くなってきたか。
なら眠れ。
良い子は早く寝なくてはな・・・
ただし次に起きた時におまえが見るもの、
それは「悪夢」ではない。
「現実」だよ・・・
立派な。
現実だよーーーー!!
「♪坊や〜良い子だ・・・寝んねしな〜
悪夢にうなされ寝んねしな・・・
そーして起きたら、もっとこわーい・・・
「現実」というやつが〜♪
待ち受けて〜いるーーーー・・・♪」
ひひ・・ひーーっひっひーーーーーー!!!
さあ!眠れ!
そしてもう一度目覚めろ!!
その時おまえが見るもの!
それが「厳しい社会」というものだ!
ひひ
ひーーーーーーーーひっひっひひーーーーーーーー