『ホモ・テクニック』
秋山正美著。第二書房発行。初版昭和43年7月31日。カバ完本。
一部で有名なロング・セラー『ひとりぼっちの性生活』や異色怪奇小説集『葬儀のあとの寝室』などで有名な異才・秋山正美が書いたホモについての概説書が本書。第一部では「歴史的に見たホモ」、第二部では「文芸作品に現れるホモ」、そして第三部で、ようやく待望の「ホモの現実の行為の方法」について書かれている。第一部・第二部は類書が多いので筆者は第三部だけで独立した書物にしてもらいたかった印象がある。しかしやはり「ホモについての正当な理解」を得るためには第一部・第二部は欠かせなかったのであろう。第三部では「一対一でいたわりあって」「清潔な雰囲気を大切に」などさすが『ひとりぼっちの性生活』の著者だけあってポルノグラフィー的なホモ像も一変させる極めて現実的な姿勢でホモの性行為のあり方を論じている。ホモがポルノとして扱われやすい昨今の風潮からしてみれば、本書の「真面目な姿勢」は割目に値するものであろう。
本書は一般的古書店では出にくいがサブカル系古書店ではごく稀に出る。とはいってもそういつでも出ている本ではないので発見したら、即購入がコレクターならば当然の本であろう。
(黒猫館&黒猫館館長)