「黒猫館守護神」
見事です。
光姫。
一回もお手つきすることなく、
「心理試験完結編全十章」
に答えましたね。
「合格です。」
「光姫」
いいえ。
守護神様。
わたしは大学で日本精神史を専攻する学生として持っている
わずかな知識を
「順序立てて」
なるべく「解かりやすく」
述べただけです。
見事というほどのものではありません。
「黒猫館守護神」
光姫。
それこそが大切なことなのです。
書物から得た知識を暗記するだけではなんの役にもたちません。
書物から知識を得たならば、
それを「なんども咀嚼し」
「自分の問題として受け止め」
そしてその知識について語る時は、
「自分の言葉」で語らなくてはなりません。
そのような知識こそ「生きた知識」というのです。
光姫。
実は今回の「心理試験完結編」においてあきらかな間違いを、
わたしは貴方の解答の中に発見しています。
しかし。
それでもわたしは貴方を「合格」にしました。
その理由は。
1〜10章までの各問題を、
貴方は「自分の問題として真剣に受け止めていた。」
そのような態度が現れていたからです。
さて。
このディスプレイを見ている惑星βー1118の方々。
安心しなさい。
くらやみ男爵の怨念は今すべて断ち切られました。
ガンの種はすべてあなたがたの体内から除去されました。
それではくらやみ男爵があなたがたに課した「心理試験」。
それに加えて最後にわたしから問題をひとつ出します。
いや問題というより、「選択」といったほうが良いでしょう。
この「選択」はもはや「善い」「悪い」、「正義」「悪」、「正解」「不正解」、
などといった「どちらのほうが『良い』」という価値判断を遥かに超えています。
いわば「善悪の彼岸」に位置する「選択」なのです。
ゆえにどちらを選ぶのも全く自由です。
この「選択」を行いたくない。
またはしばらく考えるため「保留」したいと思うのも自由です。
しかし。
もし、この選択に答えようとするならば、
貴方は貴方の本当の真意で選択しなくてはなりません。
仮に貴方が面白半分に「この先を覗いてみたい」とか、
「どうせHP上の遊びだろ。」などと考えて「虚偽の選択」をしたとします。
その時、わたしをごまかすことはできるかもしれません。
しかし貴方はその時「自分をごまかした」ことになるのです。
「自分をごまかす」。
このことの恐ろしさを貴方はわかりますか?
「自分をごまかす」とはもっとはっきり言えば「自分を裏切る」ことです。
「自分を裏切った」人間は自分自身との「付き合い方」がどんどん解からなくなってゆくでしょう。
そして最後には「自分自身の声が聞こえなく」なるのです。
そうなった人間の末路が各種神経症でありうつ病であることは説明するまでもありません。
故に本当に自分を大切だと思うならば、本当の真意で次の選択をしてください。
では始めましょう。
「黒猫館守護神」
次の二者選択を行いなさい。
「眠るような」安楽な死によって完全消滅を願う。 | あくまでこの困難な「生」に対してたち向かうことを誓う。 |