『スパルタ教育』
石原慎太郎著。光文社発行(カッパノベルズ)。初版昭和44年11月15日発行。カバ完本。裏表紙推薦文三島由紀夫。
現東京都知事・石原慎太郎が若き日に書いた教育論の本が本書。教育論といっても「子供を殴ることを恐れるな」とか「親は子供に神について語れ」とか「いじめっ子に育てよ」とか「戦争は悪いことではないと教えよ」等、現職の教育者が読んだら「なにを馬鹿な!!」と激怒しそうな章がずらりとならぶ。といってもこれは本気ではなく石原慎太郎の偽悪的ポーズによる現職の教育者に対する挑発であったのであろうと思われる。
しかし中には「父に対するウラミをもたせろ」とか「母親は子供のオチンチンの成長をたたえよ」などユーモアに富んだ章もありなかなか一筋縄ではいかない石原慎太郎という人物のしたたかさにはニヤリとさせらえてしまう。
さて「体罰」が全面禁止となった現代の教育界でこのような本を再読してみるのもまた一興と思われる。教育とは「やさしさ」と「理解」だけでは成立しない。時には「突き放す厳しさ」も必要だということを学ぶために本書を読んでみるのも一興であろう。
さて本書は何十刷も重版がかかっているので初版第一刷は極めて入手が難しい。しかし初版だから言って値段を高くつける古書店はほとんどないので安く初版本を入手することも運が良ければ可能である。