『死者たちの夜明け』

  

ジョージ・A・ロメロ原著。真野十郎訳。ヘラルド出版発行。初版1979年4月6日。カバ帯完本。 

 ホラー映画の世界の革命とも呼ばれる歴史的ホラー映画『ゾンビ』(原題『DAWN OF THE DEAD』)の原作が本書である。映画の本というと「ノベライズ」が多いが本書は監督、ジョージ・A・ロメロによって書かれた「原作」である。

 さて映画『ゾンビ』は「怪物は夜に墓場に現れる」というホラー映画の「お約束」を粉々にしてしまった革新的作品であった。『ゾンビ』に登場するゾンビは真昼に堂々と歩き、スーパーマーケットに出没する。正に「現代的な怪物」と言ってよかろう。さて懸命な読者ならとっくにご存知の事実とは思うが『ゾンビ』は『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』と『死霊のえじき』の中間に挟まれた「ロメロ版ゾンビ三部作」の第二作である。第三作『死霊のえじき』の本は「ノベライズ」という形で集英社X文庫から出版された。

 さて本書は「ヘラルド映画文庫」の中でも極めつけに出ない本である。ホラー映画関係では『マニトウ』も出ないが『死者たちの夜明け』はそれ以上に出ない本なのだ。また帯付きは極稀と言ってよかろう。これから探そうという人は覚悟
してもらいたい。しかし古書価はそれほど高くないので、金銭的な面での心配は必要ないことはありがたいことと言えるだろう。