『若者』

  

三島剛著。第二書房刊。初版昭和47年。無綴図版24葉函入完本。高橋睦郎序文。 

 ゲイ雑誌『さぶ』の表紙画を担当していた三島剛の作品集。尚、三島にはもう一冊『OTOKO』という画集がある。
本書収録の男絵にはカラミ・SM等の「趣向」は存在しない。あくまで白背景に男を単体でストイックに描くという方法で統一されている。ここらへんから序文の高橋睦郎の「三島剛の男絵はもしかしたらポルノグラフィーではないかもしれない」という推論が成り立つわけである。確かにこの本に収録された男絵には少しも下世話なみだりがましさはない。むしろすがすがしい印象さえうける。

 さて本書はマイナーなゲイ関係書籍のなかでもさらにマイナーなゲイ・アートの部類の本なので入手は非常に困難。中途半端な覚悟では入手はおぼつかないだろう。しかし一度手にしてしまえば二度と手放したくなくなる、そんな魅力のある本だ。