『みすてりい』 

 

 

 

城昌幸著。桃源社発行。初版昭和38年12月12日発行。函帯完本。定価800円。帯文江戸川乱歩。

 江戸川乱歩によって「宝石を拾うように人生の怪奇を拾う詩人」と評された城昌幸の自選短編集。しかし短編集といってもショート・ショートに近い気もする。城昌幸の小説には超自然的な怪奇現象はほとんど登場しない。代わりにあるのは人間心理の暗い襞なのである。そのことは代表作「ママゴト」を読めば一目瞭然だろう。

 さて本書は澁澤龍彦の『手帖シリーズ』と同じ装丁。色が青というところだけ違う。堅牢な固函はずっしりと重量感があり、「本」としての風格は十分である。

 尚、本書の帯は極めて珍。ほとんどが帯欠で古本屋に出ている。完本が欲しいひとは死に物狂いで探してください。