『香りのおもいで』

 

 

 中井英夫・建石修志著。世界文化社刊。無刊記。セット販売のうちの一冊。

 『虚無への供物』で有名な作家、中井英夫と画家・建石修志の創りあげた美しい絵本が本書である。

 中井英夫には『香りへの旅』という著作もあり「香り」への造詣は深い。本書は香りのなかでも特に香水に焦点を当てた一冊。

 本書は開くと、右ページに建石修志のイラストが、左ページに中井英夫による詩と香水の解説が載っている。詩は格調高い四行詩。正に最高級の香水にふさわしい。

 ちなみに本書は中井英夫コレクターの間で『水星の騎士』と並んで最難関とされている本である。よほどタイミングがよいか、もしくは大金を積むかしなければ入手は困難だろう。しかしそれだけの苦労をしてでも手にする価値はある。本書はそれほど瀟洒で美しい本だ。

 

 

『ことばたちのフーガ』

 

 

 

種村季弘・石阪春生著。世界文化社刊。無刊記。セット販売の内の一冊。

 先の『香りのおもいで』と同じシリーズで今度は種村季弘が文を担当している。

 この本は「回文」、「尻取り」、「暗号」など主に「言葉遊び」について気楽に語ったエッセイ集。種村季弘には『ナンセンス詩人の肖像』という著作があるが、本書はその延長線上にあるものだろう。

 読んで楽しい本である。