妖精のおはなし
ある蒸し暑い夏の午後であった。
わたしは「お婆」の家の居間で「ジャガーバックス」という児童書を読んでいた。「ドラキュラ」「ゾンビ」「フランケンシュタイン」・・・いつもお決まりのおはなしにわたしはあくびをしつつ次のページをめくった。
その瞬間、わたしはビクッ、と緊張した。
なんとそのページには人間の少女の前で数匹の妖精が踊っているではないか。
わたしはしばらく茫然としてから思った。
「よくわからないものというのは存在する。・・・」
さて妖精といえば一番有名な事件は1917年に起こった「コティングリー妖精事件」であろう。
ある森のなかでふたりの少女が妖精と出会ってその写真を撮ったというのだ。
わたしが小学生の時に見てビクッとした写真がこの時の写真であるとしったのはずっと後のことである。
この写真は推理作家のコナン・ドイルも「本物」と認めたのであるからただ事ではない。
今日での公式見解ではこの写真の妖精は「紙」であるという意見が主流であるようだがわたしは納得できない。
誰だとしても写真のなかに手を入れて被写体の感触を探れる人間はいない。
もし「紙のように薄い別のなにか」がこの写真に写っていたとしたらどうなるのか。
コティングリー妖精事件の謎はまだ解けていないとわたしは思っている。
さてテレビ・映画・アニメなどで登場する妖精で一番オーソドックスな妖精が『聖戦士ダンバイン』に登場した「チャム・ファウ」タイプの妖精であろう。
つま り非常に小さい女の子に羽が生えているというアレである。
しかし妖精とはそのようなタイプのものだけではない。
トーべ・ヤンソン原作でアニメにもなった『ムーミン』 、あのムーミンをカバだと思っているひとがいるらしいが正確にはムーミンは妖精であるという。
また『おばけのバーバパパ』のバーバパパも妖精くさい。
最近の例では『ポケットモンスター』の主人公、ピカチュウも妖精のように思える。
かように妖精というものは実はわたしたちの身近にひょっこりと隠れているものなのである。
さて世の中には悪霊の存在を信じてびくびくしているひとがたくさんいる。
かくいうわたしも東京時代アパートに悪霊が取り憑いているのではないか。
と心配するあまり身体に変調をきたした。
悪霊やら地縛霊やら浮遊霊やらそのようなマイナスの存在をわたしは信じていない。
なぜならそういうものにとらわれていると、マイナスの波動がそのような想念から伝わってくる気
がするからだ。
そこでわたしはどうせ信じるなら悪霊よりもっと夢のある妖精を信じるようにしている。
「チャム・ファウ」 はもちろん「ピカチュウ」も人間に手助けしてくれる有りがたい存在であるからだ。
諸君。
「信は真に通ず」という諺もある。
もし諸君が本当に心のそこから妖精の存在を信じるならばある朝目覚めた時、君も枕もとにちょこんとピカ
チュウが座っているのかもしれぬ。
そしてもしかしたら君が困っている時、ピカチュウは君の手助けをして
くれるのかもしれぬ。
これはあながち「冗談」ではない。
(黒猫館&黒猫館館長)