凍結した道路を疾走する午後
(2008年冬の闘い)
雪。
雪だ。
雪が降っている。
道路が凍る。
つるつるだ。
別にカロヤンの話をしているわけではない。
そんなユーモアに浸っている場合ではない!
真剣なんだ。
生と死の狭間で、
生き延びるためにな。
冬の間は白い悪魔に支配される、
北国の住人として!
とにかく寒いのだ。
寒い。
寒いよ。
嫌だな。
嫌だよ。
それでも!
買い物に行かなくては。
買い物に行って日々の糧を買ってこなくては。
生き延びるためにな。
スクーターにまたがる。
エンジンをふかす。
出発!!
ぶおーーーーん!
ブロロロロローーーーーン!!!
超人バロム1ではない。
ホンダ・スクーター・ディオだ。
凍結した道路上を疾走する。
走る!
走る!!
走る!!!
眼に雪の粉が入る。
もろに寒風が身体に当たる!
後輪がスリップする。
いかん、危険だ。
それでも、うしろから、車が、来ている。
ここで、止まったら!
激突だ!!
死。
死だぞ。
死あるのみ。
地獄行きか。
いや、極楽へ行きたい。
詩で死を語る。
悲しいことだ。
わたしとて、
詩では花を語りたい。
甘ったれるな!!
そんなことを。
考えている、暇はないぞ!
信号が黄色に変わる。
さあ、止まるか!?
右折する。
さあ、突っ切るか!?
危険。
危険だ!!
あまりにも。
その時!
お目当ての店が見えてきた。
生還したんだ!!
わたしは、生き延びた。
しかし。
怖いぞ。
怖いぞ。
本当に怖いのは。
「行きはこいこい
帰りはこわい、
鬼さん、こちら、
手の鳴るほうへ」
さあ、
本当の た た か い が 始まる。
生き延びるためのな。
わたしは生きて帰れるだろうか。
生きてわが家の玄関をくぐれるだろうか。
しかし。
往かねば ならん。
往け!帰ることなく。
往く。
往くぞ。
もしかして逝く!
「サヴァイヴァル!」
発車だ!!
ぶおーーーん!
地獄か
極楽か
生か。
死か。
運命は天のみが知る。
ブロロロロロローーーーーン!!!
走リ出す。
生き延びるために!
(黒猫館&黒猫館館長)