みづこだま
とんでゆく とんでゆく とんでゆく
みづこたちがとんでゆく
あかい あかい あかい 空を
とんでゆく
哭き 叫び おびえ ふるえている
ひとりの すはだかの 嬰児は
とはにつづいてゆく
くるしみの
おはりなき
みちに
おきざりにされて
そして
冥い 虚空から 伸びてくる
無数の黒い手 手 手 手 手
嬰児は
殴られ
蹴られ
いじめられ
そして
くるしみと くるしみの とだえる
一瞬のはざまに
ハッと
いっぱいに まぶたを開ける そこには
とんでゆく とんでゆく とんでゆく
みづこたちが とんでゆく
嬰時は もう一度 目蓋を 閉じる
そしてまた
伸びてくる 黒い手の 群れ
いつまでも いつまでも
くるしみの つづく 一本の道
で
嬰児は まだ 生きている 生きている 生きている
そしてまた
哭いている
うるうるおるるるるる
るるるるうおるるるるる
哭いている
静かに哭いている
くるしみは つづいてゆく
くるしみは つづいてゆく
いつまでも つづいてゆく
うおるるるるる
るおるるるるり
とんでゆく とんでゆく
みづこたちは とんでゆく
あかい あかい あかい 空の上を