あらゆる邪気が追い払われたような真っ青な朝。
親殺しの少年の公開処刑が始まる。

死は神聖な恵み。
見物人たちの瞳は一層澄んで。

生は不浄な悪意。
ひとの世のくるしみを今日だけは忘れようとして。

素裸の少年は運ばれてゆく。
地面から突き出た鋭い杭の上に。

世界中の祝福を一身に受けて
少年は小麦色の皮膚を一層上気させる。

いま、ゆっくりと肛門が穿たれる。
油を塗られた杭は少年の体重でゆっくりと体内に飲み込まれてゆく。

少年は泣き笑う。
処女膜を破られる女のようにわらわらと。

直腸・大腸・小腸とブツンブツンと刺し貫かれて
やがて胃が破られる。

口から噴出す血の噴水。
そしてゆっくりと杭が少年の口から現れる。

真昼の太陽が死の影を映し始めた時、
ひとつの奇跡が起こった。

突然、勃起し始めた陰茎。
陰茎の尖端から噴出する生殖液。

そして命の終焉に
涙。

見物人たちは澄んだ瞳の奥で奇跡の意味をすべて知っている。

それは死によって齎された条件反射などではなく
神に向かって捧げられた少年の
歓びの涙だということを。

(決定稿2003年5月28日)